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細蟹十生語りて曰く。

「鳥を討つのは、あたくしどもの役目でね」 十生が最初に生きていたのは、貴族の世の終わり、武士の世の黎明期だった。 とはいえ、もののふどもも立派なのは名前だけで、のさばるのは野盗の上等になったようなものばかり。はるか東国は言わずもがな、都近くに住む武士もまた、殆どは荒くれ者だ...

小径の裏打ち

自販機の横から路地に入る。 コンテナにも似た、赤錆びたトタンの屋根と土壁を持つその小屋は畳一畳半ほどの横長の空間だ。正面に二台、左の壁に一台と並んだ自販機はぴったり角をつけているように見えて、その実、左と正面の自販機の間には大人が一人通り抜けられるくらいの隙間があるのだ。そ...

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